インタビュー Vol.6 永田有吾

「イントロは即興で弾くと思います」


永田有吾

ここ最近、再び旺盛な活動を開始したことで、いま最も注目されるピアニスト、永田有吾。大学在学中にリーダー・アルバムをリリースしたという鮮烈なデビューを覚えているファンも多いだろう。そんな永田さんは、今西さんとはその頃からという意外にも(?)古い付き合いらしい。インタビューは、今西佑介セクステットのライヴ前ということで、他のバンド・メンバーにも参加してもらってにぎにぎしく…というよりは、かなりとっ散らかったものになってしまった。ということで、バンドの雰囲気や会話のノリもそこそこ残しながら、インタビューとして再構成してみたので、その点もぜひ楽しんでいただきたい。

永田さんが喋りだすその前に

今西: とりあえず、當村が来る前に彼のバッキングについてききましょうか(笑)

弦牧: えっ、何ですか?それ。

今西: 當村くんのソロってぼくとか横尾くんと違って、変わってるからどういう風にピアニストはバッキングしているんだろう、っていう話題があるんです。

――當村さんへのインタビューで、バッキングに関しての話がでたんです。で、ご自身も「みなさん、どういう考えでバッキングされているんでしょうか?」って話されていたので、柳原さんにも聞いてみたりしているんです。普通じゃないソロなんでちょっと気になっているんです。

今西: 普通じゃないように聴こえるかもしれませんけど、実際、採譜してみたら案外、アウトしてないんですよねー。

弦牧: ああ、なるほど。二人ともどうしてるんやろか?

――弦牧さんはどうですか?

今西:前に當村くんとライヴ帰りに話してたんですけど、「弦牧さんは(當村さんのソロを)自分のソロと勘違いしてるんちゃうかなー。」って言ってましたよ(笑)

弦牧: ええー(笑)

――弦牧さんが當村さんのことを好き過ぎる問題ってのもありますよ。

今西: 柳原さんが(當村さんのソロのときに他のメンバーがブレイクして)二人だけで10分くらいやっていることがあった、って言ってましたね。

永田: あっ、それ観に行っていました。B-ROXY(難波にあるお店)だったかな?

今西: あのとき、當村がパーパッ、パァ―っていうわかり易いフレーズ弾いてくれなかったら、(テーマに)帰って来れんかったんちゃうちゃうかな?

横尾: そんなんでしたっけ?

永田: …あのぼく、全然喋ってないんですけど(笑)


ライブ前なのにリラックスした雰囲気の永田さん

當村さんのソロに対するバッキングについて

弦牧: (ライヴ前だったので)譜面整理しているから、時間をつくってたんやんか。

――すみません(笑)じゃあ、改めて當村さんのバッキングについていかがでしょうか? 

永田: ぼくは、當村さんに反応するというか、弦牧さんと光岡さんのお二人をまずみて、合わせるようにしていますね。

――當村さんって抽象的なソロをとられるイメージがあるんですけど、そういったところで反応されるってことはありますか?

永田: そうですね、當村さんと一緒にぼくまでそちらへ行くと全くわからない世界になってしまうかもしれないんで、それはしないかなあ。

新作に収録されている永田作「Serendipity」について

――M1.「Serendipity」を作曲された経緯を聞かせてください。今西さんの要請などがあって作曲された曲なのでしょうか?

永田: 今年(2018年)の2月くらいにピアノ・トリオとかでやろうとして元々は創っていた曲なんです。それで今西さんから何か曲を提供して欲しいという話があったので、改めてセクステット用にアレンジしなおしました。

――メンバーのみなさんは永田さんの曲についてどう思われていますか?今西さんは永田さんの曲が好きだっておっしゃっていましたけど。

今西: 彼のカラーが出てますよね。長調の曲だけど少し暗く落ち着いてるとこもあるし、単純にそう聴こえないとか。もちろんコード進行も独特なところがあるので難しいですね。慣れるまでは。

横尾: 今西さんの曲でもそういうところがありますけどね。

今西オリジナル曲について

――逆に今西さんのオリジナル曲についての印象はいかがでしょうか?

永田: ぼくも好きですよ(笑)実は、今西さんとはけっこう付き合いが古くて、キャリアの最初期からセッションなどでご一緒しているんです。「Warmest Regards」(『CRISP』収録)とか好きな曲ですね。

――ポップスの要素があるっていう指摘に関してはどうですか?

永田: ああ、前作に収録されていた「Touch of Spring」とか確かにキャッチ―ですよね。

今西: うーん、でもポップスみたいと言われるとなあ~。

――嫌ですか?

今西: まぁ、そうですね。ビートルズ大好きですけど具体的に「ビートルズみたい」って言われてもあまりいい気はしないですよね。「~みたい」と言われるのは嫌です。自分の独特な音楽であって欲しいなー。「サウンドがポップだ」って言われるのは別にいいですけど。

横尾: 「ポップスみたい」って言うのは言い方が悪いですよね。

今西: っていうか、ビートルズって、あれはポップスなんかな、ロックなんかな?

横尾: まあ、あの時代に登場したときはポップスじゃないですか。

柳原さんについて

――同じくピアニストとして参加されている柳原さんの録音日に見学されたと伺ったんですが、そのときの印象などありましたら、お聞かせください。

永田: M3.「Musicuriosity」の録音の前に「イントロ何か考えてこられましたか?」って聞いたら、まだ決めてないって言われてたんですが、いざ、録音が始まったら、収録されているイントロをインプロで弾かれたんですよね。

――あー、あれはその場で、即興で弾かれたんですか!

永田: それ以前にも、あるお店で柳原さんのソロのCDがかかっていてそれが素晴らしかったんです。それで、その後バッタリお会いしたときにそのことを伝えたらそのCDをいただいたことがあったんですよ。

――新作ではM9.「Fellowship」は柳原さんが弾いておられますが、ライヴでは永田さんが弾かれることがあると思います。収録されているイントロはかなり印象的なバップ・フレーズですが、永田さんが弾かれるときはどうされますか?

永田: うーん(笑)なぞりはしないですね、ぼくのフレーズで、即興で弾くと思います。


永田さんと光岡さん(b)

――最後に今後のご予定とかありますか?

永田: 9月にNYに行く予定なんです。こっちからあちらに行っているミュージシャンの方にも会いたいし、いろいろ音楽を吸収してきたいですね。

<後日談>

せっかくライヴ前に永田さんにお話しをうかがうということで、よければメンバーのみなさん全員に参加していただいて…と提案したのは確かにこちらに違いない。それは、柳原さんのインタビュー時に今西さんに参加してもらったところ、殊の外、上手くいったことに味をしめてのことだったんだけど。いみじくも、柳原さんがインタビューで指摘していた通り、メンバーが集まると男子校にノリそのものになるので、話は千々に乱れに乱れて。っていうのは私の仕切り下手の言い訳に過ぎないんですが。そんな中、永田さんは的確に短くバシバシと答えて下さりました。完全に私の尻拭いをしていただいた感じで、非常にありがたかったです。というか、すんませんでした。

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